近年、高度な手口を使って解錠し車を窃盗する手口が増加しています。非常に短時間で犯行を終える為、在宅中にも関わらず自宅の車庫から盗み出されるという事件も。特にランドクルーザーなどの高級車が多く狙われています。そんな悪質かつ深刻化する車両盗難は、どのように防ぐことができるでしょうか。セキュリティ専門会社であるトレネッツ.が導入事例を踏まえて独自の視点で考察します。
愛知県はワースト2位の車両盗難多発地域
車を盗む行為は「自動車盗」として愛知県警から被害情報が発信されています。
令和5年度(2023年)は年間698件発生しており、全国ワースト2という件数でした。
順位 | 都道府県 | 発生件数 |
1位 | 千葉県 | 746件 |
2位 | 愛知県 | 698件 |
3位 | 埼玉県 | 683件 |
4位 | 茨城県 | 615件 |
5位 | 神奈川県 | 461件 |
全国的には近年はコロナの影響により盗難件数自体は減少傾向でしたが、2022年以降は再び件数が増加傾向になっています。
さらに愛知県は2024年に入って発生件数が急増。5月の時点で前年比140%の368件の勢いで車が盗まれており、愛知県警は警戒を呼びかけています。
また、令和3年度は件数に対して検挙率はわずか17.3%となっており、「盗まれても車が戻ってこない・犯人が捕まらない」という厳しい状況となっています。
狙われる車に変化が
少し前まで狙われやすい車として有名だったのはトヨタ・ハイエースでした。
全世界で人気の高い商用バンということもあり、バラバラにして部品として海外へ輸出されるケースが後を経ちませんでした。
しかし近年はハイエースなど商用車は盗難者のランキングTOP10には入っているものの、絶対数は大きく数を減らしています。
ではどのような車が狙われているのでしょうか?
2023年
順位 | 車種 | 盗難件数 |
1位 | トヨタ アルファード | 700台 |
2位 | トヨタ ランドクルーザー | 643台 |
3位 | トヨタ プリウス | 428台 |
4位 | トヨタ レクサス LX | 261台 |
5位 | トヨタ ハイエース | 187台 |
6位 | スズキ キャリィ | 115台 |
7位 | ダイハツ ハイゼット | 107台 |
8位 | トヨタ レクサスRX | 88台 |
9位 | トヨタ クラウン | 81台 |
10位 | トヨタ レクサスLS | 71台 |
このようにトヨタ車の盗難が10位の中に8車種も入っています。
ランドクルーザーの盗難が多い
2023年の堂々1位は「トヨタ アルファード」。
ただし、常に上位にいるのがランドクルーザーです。
2022年の1位はランドクルーザーで、トヨタ アルファードは4位でした。
傾向としては、高級SUV車が多く狙われていることが分かります。
自民党参議院議員の三原じゅん子氏は、4月4日にSNSで自身のトヨタ・ランドクルーザーが盗難被害にあったことを報告しています。
神奈川県横浜市の自宅周辺に設置された防犯カメラには、前方の車に先導されている形で、三原氏のランクルが運び出される様子が映し出されていたが、現時点で犯人の特定には至っていません。
三原氏のランクル盗難が報じられた2日後にも、東京町田市でランクルが盗難被害が報告されています。このような被害が全国各地で起きており、ランドクルーザーは窃盗被害車種のおよそ15パーセントを占めています。
トヨタ ランドクルーザーが狙われる理由
ランドクルーザーは盗難の対象になりやすい車両です。その理由として、車自体の人気と高い市場価値が挙げられます。
ランドクルーザーはその耐久性と信頼性が評価され、過酷なオフロードでも優れた性能を発揮するため、世界的に高い需要があります。
そのため、盗まれたランドクルーザーが部品として転売されることが多く、盗難のリスクが一層高まっています。
ハイテク化する窃盗方法
ランドクルーザーなど、高級車の強固なセキュリティを装備している高級車が短時間で盗まれる背景には、車の盗難のハイテク化が挙げられます。
1.イモビライザーを無効化する「イモビカッター」
車のキーに電子的なIDを設定し、一致しないとエンジンを始動できないようにするセキュリティが「イモビライザー」です。
高級車だけでなく、もはやほとんどの車に装備されている標準的なセキュリティですが、これは容易に突破できてしまうのが実態です。
"イモビカッター"と呼ばれる機器を外から車の配線につなげることで、この紐づけられたIDを"初期化=リセット"してしまい、不正に書き換えることで解錠・エンジン始動してしまうのです。
なんとフリマアプリ「メルカリ」では普通に取引されていたりします…。
2.リレーアタック
近年増加している手口が、車のキーレスキーから発せられる電波を増幅して車を解錠・始動させてしまう「リレーアタック」という手法です。
本来は解錠にはキーレスのリモコンを持ってドアの付近まで近づく必要があり、かつエンジンの始動には車内にキーがあるなど、非常に近距離にある場合のみ反応するキーレスの仕組み。つまりキーレスキー本体からは常時微弱な電波を発信していることになります。
そのため特殊な装置を使ってこの微弱な電波を受信することで「増幅」し、不正に車を解錠・エンジン始動させてしまうのが、リレーアタックです。
3.コードグラバー
こちらもキーレスの電波を悪用した手法です。キーレスを操作する際にも当然電波を利用しています。みなさんも少し離れた場所からキーレスのボタンを押して車の施錠・解錠などを行うことがあるかと思います。
このように時には数百メートル離れた距離でも車を操作できる便利なキーレスの電波を不正に受信し、電波をコピーして操作してしまうのが、コードグラバーです。
リレーアタック同様、距離が離れていても不正にキーレスの信号をコピーされてしまうので、知らない内に盗難の準備が進んでいることになり、大変恐ろしい手段です。
4.CANインベーダー
近年、車もスマホ並に電子化が進み様々な動作を電子制御しています。それらを制御するのに使われている通信規格が「CAN通信」と呼ばれるものです。
このCAN通信を使って、ECUなど車の重要な電子部品をコントロールしているわけです。またこのCAN通信は自動車業界の標準規格であり、ほとんどの車で利用されています。
そして標準規格であるが故にネットワークに車外から不正に接続する手法も確立されてしまったのです。
こうして不正に車内のネットワークにアクセスすることで、解錠・エンジン始動させる手法が、CANインベーダーです。
また、この手法を使って解錠・エンジン始動させた場合、純正の盗難防止GPSはネットワークに接続されているため不正アクセスと同時に無効化されてしまいます。
このように「多くの車で採用されている既存のセキュリティはほぼ無効化できてしまう」のが現在の車盗難の実態なのです。
ではどのように愛車を盗難から守れば良いのでしょうか?
物理的な対策方法が効果的
いずれの手法も"電子的なセキュリティを解除"していることから、古典的ともいえる"物理的なセキュリティ対策"を行うことで、車両の盗難を防げる確率が高くなります。
1.車本体への二重ロック
ハンドルロックやタイヤ/ホイールロックなどの物理的な対策が効果的だと言われています。
ハンドルやタイヤ以外でもシフトノブやブレーキペダルを固定する器具も。
いずれも窃盗犯にとっては解除・破壊に手間取ることを想定させるため、下見の時点で盗難の対象から外れることになると思います。(より盗みやすい車を探す)
二重ロックのメリット)
メリットとしては値段が数千円程度で導入でき、非常に手軽であることが挙げられます。
二重ロックのデメリット)
通勤や業務で利用するなど、「車の利用頻度が高い」場合には、これらの対策は非常に煩雑となることです。
コンビニに行くなどちょっとした買い物の度に何度も付けたり外したりして、その都度器具をトランクに出し入れするのは苦痛です。
1日に何度も行う作業に徒労感を持ち、「本当に狙われているかどうか分からないし、無駄かもしれない」と思うこともあり、面倒で装着を止めてしまう人も多いでしょう。
2.鍵本体・キーレスの取扱い
先述の通り「リレーアタック」や「コードグラバー」といった手法から守るために、車の鍵の扱いそのものを見直すことで、自動車盗難を防ぐことができます。
キーレス操作にあたってはなるべく遠隔での施錠/解錠を控えるようにしましょう。
また、自宅での保管の際は玄関近くに車の鍵を保管する人も多いですが、これは大変危険です。(玄関先から電波を受信されてしまう為)
外部から近い場所に車の鍵を保管することは絶対に避けましょう。
キーレスの本体は使っていないときでも微弱な電波を出しています。そのため電波を遮断する専用のボックスに入れることで、キーレスの電波を傍受されることを防ぐことができます。
電波遮断ボックスのメリット)
車の鍵は電波を防ぐ鍵付きのボックスなどに入れ、玄関や車から離れた場所で厳重に保管しておくことが、リレーアタックやコードグラバーに対して非常に効果的です。
電波遮断ボックスのデメリット)
デメリットとしては1のハンドルロックなどと同様に、鍵を使う度にキーボックスを開け閉めするのが面倒に感じたり、自宅のレイアウトによっては建物全体が自動車の保管場所に沿っているなど、電波を完全に遮断することは難しい場合もあります。
3.GPS端末の活用
近年GPS端末の小型化が進み、車に付けることでスマホなどから位置情報をほぼリアルタイムで確認することができるようになりました。
端末の中には所定の場所から移動したり、端末が外されたりすると通知を行うものもあり、車が盗まれたり異変にいち早く気づくことができます。
また盗まれてしまった後でも移動している状況を確認して、停車した場所に警察と一緒に赴き車を取り戻したケースも多く報告されています。
GPS端末については、車窃盗対策に使える車載GPS端末まとめをご覧ください。
しかし1〜3までの方法については別の方法で解除できてしまったり、最後のGPSも基本的には「盗まれた後の追跡」となる点が懸念されるかと思います。
4.ガレージ/駐車場所のセキュリティ強化
トレネッツ.としてもオススメなのが、車を駐車している場所自体のセキュリティの強化です。
費用こそかかりますが、日々の管理のしやすさ・絶対的な防犯効果は絶大です。
防犯カメラだけでは意味がない
注意したいのは、ガレージのセキュリティ=防犯カメラの設置、と考える人が多いことです。そして防犯カメラは今、ネット通販などで手軽に購入できることもあります。
しかし、トレネッツ.は経験上、「防犯カメラだけでは盗難の抑止につながらない」ことを知っています。
なぜならば基本的に泥棒は、
事前に入念な下見を行う
短時間で犯行を終える
録画のみの防犯カメラは気にしない
という傾向があります。
実際、夜間の防犯にと設置した防犯カメラの前で堂々と自動車を盗んでいく様子がテレビやネットで取り上げられることが多いかと思います。
映像にはCAMインベーダーで解錠・エンジン始動され、GPSも無効化されてしまった様子が防犯カメラに記録されています。犯人は防犯カメラの有無など気にしていません。
車を止めるガレージのセキュリティ対策は、防犯カメラをただ設置するだけでなく、「泥棒が嫌がる防犯機器」を効果的に設置することが重要なのです。
新ガレージセキュリティパッケージのご案内
この度トレネッツ.ではこれまでの自動車窃盗事件の傾向と、ハンドルロックなどの物理的な着脱の煩雑さを解消するガレージセキュリティを新たに構築しました。
車内に動体検知を行うセンサーを設置し、車内に侵入された場合には音と光で警告します。
センサーは着脱式ですので、運転時はダッシュボードなどに収納し、駐車時のみ取り出して使います。センサーはリモコンでON/OFFできるので、ドライバー本人による誤検知を防ぎます。
室内にも警報器を設置し、オーナー様にも侵入を知らせます。
リレーアタックやCAMインベーダーを使う自動車泥棒は、「誰にも気づかれずに車を奪い去る」ことを念頭に犯行を計画しているため、「ドアを開けて車内に侵入した瞬間にサイレン音と赤い強烈な光で警告されること」は想定していません。
この時点で車を盗むことを止めて逃げる可能性が高いと考えます。
合わせて動体検知に対応した高性能な防犯カメラを設置。映像でも検知・記録します。
ソーラーパネルによる給電で、屋外配線の必要がありません。
また映像は防犯カメラがWi-Fiを介してインターネットに接続、クラウド上に保存されますので、窃盗犯が防犯カメラを破壊・盗んだ場合でも直前の映像を確認することができます。
トレネッツ.ではこれらのガレージセキュリティセットを【16万円+工事費】でご提供しております。
トレネッツ.では、これ以外にもガレージ・駐車場へのセキュリティ対策事例は多数ございます。
お客様のご予算・ご事情に合わせたカーセキュリティーをご提案させていただきます。
トレネッツ.のガレージセキュリティ導入事例
「泥棒が嫌がる防犯機器」とは、具体的にはどのようなものでしょうか。
ここからは、トレネッツ.が実際に設置した自宅から離れた場所に駐車場がある三重県のYさんのガレージの警報装置事例を見てみましょう。
”警戒中”を主張するセキュリティシグナル(TO-520)。意外かもしれませんが、これだけで高い防犯効果があります。
夜は常夜灯になり明るい光で見張ります。泥棒が侵入すると音と光で威嚇します。
当社のおすすめする防犯機器ランキングでも堂々の1位となっています。
室内にはパッシブセンサー(PA-6612)を設置し車庫内を見張ります。
コントローラー(RXT-750CTI)と警報ベル(KB-6C)を車庫内に設置し、泥棒進入時に音で威嚇します。
ガレージセキュリティのご相談はトレネッツ.へ
大切な愛車を守るガレージ・駐車場のセキュリティ対策で困ったら、ぜひお気軽にトレネッツ.までお問い合わせください。
ただいまセキュリティ無料診断も実施中です。
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